デザイン関連の四方山話

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 こんにちは。デザイナーの「SK」です。
 今回のプロジェクトではモデリングからモーション調整まで、幅広く担当しております。
 今作は当社で初めてのXbox 360タイトルということで、それ以前のPlayStation 2等のプラットフォームと比べて表現力が大幅に増した分、するべきことも大幅に増え、あまりの物量に辟易しながらも濃厚な経験をさせて頂きました。
 苦労話は沢山ありますが"なんたらマップの境界がどうたら"とか専門用語を羅列しても退屈かと思いますので、ここでは『Operation Darkness』作品中の世界観やデザインやらについて語ろうかと思います。


 このゲームは第二次大戦を扱ったゲームのため、戦時中の服装や装備品が数多く登場します。その中でも民族的、宗教的対立をバックボーンの一部としている戦争ものには多い事ですが、ゲーム上デザイン的に不適切とみなされるものがいくつかあります。
 代表的なものと言えばハーケンクロイツ(鉤十字)のマークでしょうか。日本で寺院のシンボルとして馴染み深いマークに似ていますが、ドイツではこれは禁 忌とされています。スワティカとも呼ばれるこのマークは非常に規制の厳しいシンボルの為、開発初期の段階で変更され、ゲーム中では腕章等の鉤十字は鉄十字 章として表現されています。
 このように、本作は現実をベースとしていますが、所々に実際の歴史上の光景とは異なる箇所があります。それらを見ながらプレイするのも面白いかもしれません。

 また、このゲームは、第二次世界大戦という史実を再現しながらも、オカルトという香辛料が盛り込まれています。そのため登場するユニットも現実とは違う架空のキャラクターが含まれていますが、ゲームとしてバランスを取る為にデザインが若干変更される場合がありました。
 一例を挙げると、初期デザインの骸骨兵は右手にブロードソード、左手にMP40を持っていたのですが、弾丸が当たりにくいうえに遠近両方共に攻撃力が高 く、おまけにSP Attackも使ってくるという凶悪ぶりで、あまりにも強すぎるためゲームオーバーになるテストプレイヤーが続出。レベルデザイン担当の判断で、最終的な 装備はソードのみに変更されました。
 個人的には銃で攻撃してくる骸骨も好きだったのですが、これを実装していたら発売後は阿鼻叫喚になっていたかと思います(笑)。

 他にはゲーム中では後半になると敵側に魔術を使う兵士が出てきます。この魔術兵も当初はメガネを掛けた不気味なデザインでしたが、3Dモデルとの兼ね合いを調整した結果、現在のデザインに落ち着いております。
 こいつらは文字通り魔法(のSP Attack)を使う兵士な訳ですが、その魔法の威力たるや凄まじく、シミュレーションゲームに慣れたプレイヤーの皆さんでも苦戦されることと思います。
 しかし、何しろ魔法というのは未知の力ですから、どういう原理でそのような技が使えるかは例え開発者でも解りません。モーション作成にあたり、その不思 議なパワーを動作で表現するにはどうしたら良いだろう?と苦心したのを覚えています。ゲーム中の魔術兵にとらせるポーズと同じ姿勢を、実際に自分でとって みて「出始めは太極拳ぽく」とか「ここは腕クロスした方がカッコよくね?」などと意見を出し合って作りました。

 もちろん、敵がオカルト的必殺技を操れるのですから、味方もそれに対抗する技を覚える事が出来ます。その代表的なものが、天からの怒り『神の手』です。 これらの技(「ハンマー・トゥ・フォール」「アイゼンファウスト」の二つです)のデザインを良く見るとルーン文字ぽいのが描かれてますが、これは二つの必 殺技がそれぞれ、北欧神話の神々をイメージしているからです。
"戦争なんてしていると神様に叱られるよ?"という、世界戦争に対するアンチテーゼが如実に表現されているものと思っていただけると幸いです。

 最後になりますが、私からのゲームのアドバイスをひとつ。
 戦場において軍医は重要です。このゲーム中で登場する味方プレイヤー側の軍医はハーバード・ウェスト一人だけなので、死なないように大切に扱いましょう。

2008年2月

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このページは、KKが2007年9月22日 00:00に書いたブログ記事です。

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