新幹線の中で、「恵」は外の景色をぼんやりと眺めていた。恵の通う此花学園の修学旅行は、今日が七日目――最終日だ。右隣の席には「美亜子」、左隣には「忍」。どちらも疲れているのか寝入っている。
 「きゃあああああああああああ!」
 突然聞こえて来た悲鳴。飛び起きる美亜子と忍。現場に駆けつけ、ドアを開けた恵は目の前の光景に顔をしかめた。古文教師の「千菊」が倒れている。千菊の傍らには、旅行中に知り合った陰陽師の「鈴」が座り込んでいた。そして倒れている身体の側には、釘で打ち付けられた人形があった。
 「まさか、呪いじゃ・・・・・・」
 数日前に神社で聞いた話が3人の頭をよぎる。どうやら千菊はペットボトルに入れられた毒を飲まされたらしい。ペットボトルは、生徒の「鵜飼」からもらった物。鵜飼は飲みかけのペットボトルに蓋をして千菊に渡している。その直後、旅行中ずっと千菊にからんでいた不審な男性「染井」が、千菊をデッキへ連れ出した。染井が去ったあと、鈴が通りかかった時にはもう千菊は倒れていたという。ペットボトルに毒を入れる事ができたのは、普通に考えれば染井と鈴の2人。だが動機が解らない。恵は旅行中に見た事を必死に思い起こそうとしたが・・・。
 
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