ずいぶんと前に亡くなった祖母は旅が好きだった。

見知らぬ景色。

見知らぬ人々。

見知らぬものとの出会いが大好きで――

 

高い天井で育てば背が伸びると言うように、

世界を広く持つことが、人を大きくするのだと――

 

そして高校二年の夏休み、私も遠くへ旅に出る。

部活の合宿なのだけれど、これも旅には違いない。

 

電車と車を乗り継いで、私たちは南の海へ。

剣と胴着をかばんに詰めて、鬼ヶ島を望む岬の山門へ。

そこで私が出会うのは――

 

月の満ち欠け、潮の満ち引き、

水面(みなも)を乱す宿命(さだめ)の周期(めぐり)――

瑠璃の宮処(みやこ)にまどろむ龍の、いざなう嵐に私はあらがう。

 

――むげんのなみは わだつみのこどう――