境内/夜

 
 

【百子】
「沙羅の森をずーっと行くと、一本だけ赤い椿があるわけです
よ。常咲きの椿というやつですね」

 靴脱ぎ石に立った百子が、小さな身体を伸び上がらせて、私
たちの頭越しに本堂の脇から裏へと抜けていく道を指し示す。

【百子】
「その木の根元にジュースの箱を置いてきたので、それを取っ
てきてください」

 沙羅の森の奧までの往復コースが、肝試しの順路ということ
になる。

【百子】
「その場で飲んじゃってくれても構いませんけど、空き缶は証
拠として持ち帰ってくださいね」

【百子】
「途中にゴミ箱ありませんから、捨てられる場所なんてどこに
もありませんがね!」

【梢子】
「聞いた? ゴミは出さずに持ち帰ること」

【一同】
「はーい」

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