境内 昼

 
 

 山門をくぐると、それなりの広さの境内とその奥に控える本堂が
姿を見せた。
 石畳の隙間を広げて伸びる野草や、落ち放題に落ちた花が、
寂れた印象を抱かせる。
 夕べの光が染めるセピアめいた色味が、余計に侘びしく見せて
いるのかもしれない。
 漆喰の剥がれが目立つ山門ほどではないけれど、本堂も十分
に古びていて――

【百子】
「うはー、やっぱりぼろいですねえ」

【汀】
「まーね。使ってる部屋なんかは、こざっぱりとしてるんだけど」

【百子】
「それは朗報です」

【綾代】
「ちょっと安心しました……」

【葵】
「こらこら、あなたたち失礼なこと言わないの。これからお世話に
なる場所なんだから――」

 

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