アカイイト TOPページ >> Webノベル「アカイイト」
 
 
 
   

第 三 章   少 女 と 白 銀 狐 と お 化 け 屋 敷
 
 
 

 「やっぱり、このまま歩いて行くことにします」
 駅員さんの申し出はありがたかったが、わたしは少しでも早くお父さんの実家を見たいという想いに駆られて、そう答えた。
 父の顔、父の話を教えてくれるお母さんはもういない。
 母が亡くなったいま、わたしは天涯孤独の根無し草なのだ。つい一週間ほど前まで、わたしはそう思っていた。母の葬儀や事務処理で慌しく、顔も知らない父のことなど考えもしなかった。だが、そのあと税理士さんから父の実家の話を聞かされて興味が湧いた。
 それは、寄る辺なき身が何かを頼りたかったからなのだろうか。
 自分自身でもよくわからなかったが、わたしは未だ見たことのないお父さんの面影が父の生家に残っているのではないかと考えていた。それを早く見てみたいという想いは自分でも思っていた以上に強かったらしい。
 それに田舎の夜道を独り歩くのはちょっと怖いが、駅前を見る限りでは道路の舗装もされている。バスで行き来するとは言え、そんなに遠くはないだろうと考えたからだった。
「バスがなくても、徒歩で何とかなるんじゃないかと思うんですが……」
 だが間髪入れず、私の返答を遮るように駅員さんの声が響く。
「歩くと大変だよ。途中から道は悪くなっているし、暗いし」
「うっ……」
 思ってもみなかった言葉に私の決心はあっさり揺らいだ。しかし



 

1
 
 
 
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |

※本文中に記載されている商品名等は、各社の商標または登録商標です。
※当ホームページ内で使用している画像・音声等の二次使用権はWellMADEと(株)サクセスに帰属します。
転用・販売・領布するなど無断で使用することを固く禁止致します。

Copyright (C) WellMADE , (C) SUCCESS Corporation All Rights Reserved. No content on this web site including literary work,graphics,
images,music and other production maybe reproduced in any form without express written permission of the authors.