アカイイト TOPページ >> Webノベル「アカイイト」
 
 
 
   

第 二 章   漆 黒 の 少 女
 
 
 

 「終点、経観塚(へみづか)。経観塚です。この列車は車庫に入りますのでお降り下さい」
 どれくらい眠っていたのだろう。終点を告げる車内アナウンスに起こされ、慌てて荷物を持って電車を降りると、辺りは夜の闇に包まれていた。
 ホームの端にある外灯で周囲はうっすらと視認できるが、その先にあるものはまったく見えない。都会の夜景とはまったく異なる、深くて暗い光景が周りに広がっていた。
 ここが、お父さんの生まれた土地なんだ。そう思うと、眼前の暗闇に包まれた場所がなんとなく馴染み深いものに感じられた。
 ともあれ、まずは駅から出なくてはならない。荷物を抱えなおしたわたしは改札のある方向へ向けて歩き出した。旅行慣れしていないわたしの荷物は大きく、鞄はパンパンに膨らんでいる。それを持って駅のホームを歩くだけで額に汗が滲んでくる。
 目的地はわたしの住んでいる町からだいぶ北にある。だから少しは涼しいだろうと淡い期待をしていたが、その期待はあっさりと裏切られた。北にある山間部で夕闇の帳が落ちたのに気温と湿度はまだ高く、ねっとりとした生暖かい風がわたしの顔を撫ぜる。
「暑いなぁ、もう」
 エアコンの効いた車内で眠っていたわたしには温度差がけっこう堪えた。そのためか、荷物の重さに耐えて歩いている途中に思わずよろけてホームから落ちそうになった。端から見たら、きっと情け





 

1
 
 
 
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |

※本文中に記載されている商品名等は、各社の商標または登録商標です。
※当ホームページ内で使用している画像・音声等の二次使用権はWellMADEと(株)サクセスに帰属します。
転用・販売・領布するなど無断で使用することを固く禁止致します。

Copyright (C) WellMADE , (C) SUCCESS Corporation All Rights Reserved. No content on this web site including literary work,graphics,
images,music and other production maybe reproduced in any form without express written permission of the authors.