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第 一 章   白 昼 夢
 
 
 

 木。
 たくさんの木が生えている。
 高く伸びる木々それぞれが好き放題に枝を伸ばし、見上げた視界の先にあるはずの空をほとんど覆い隠してしまっている。
 ここは深い林か森か。気がつくとわたしは幹の太い古木が立ち並び、丈のある草が両側に生い茂る狭い道を歩いていた。

 立ち止って振り返ると、瓦の並ぶ屋根が見えた。
 時代劇でみるような立派な構えの門はないけれど、それは見事なお屋敷だった。平屋の大きな日本家屋で、はなれに見えるのは蔵かもしれない。
 こういう屋敷に住んでいる人たちを、由緒正しい旧家の人とでも言うんだろうか。

 鈴―
 涼しげな鈴の音が聞こえて、わたしは前に向き直った。
 その直後、誰かにぐっと手を引かれ、わたしはされるがままに歩き始めた。最初はゆっくりと歩いていたが、手を取る者の歩みはやがて速くなり、それに引かれるわたしも少しずつ足を速めた。手を引く誰かの顔はうっすらとした霞のようなものに覆われ、はっきりと見えない。男なのか、女なのかそれすらもわからない。
 次第に急になっていく勾配に、ここは山なんだなと、わたしはぼんやり考えた。
 わたしにもわかることがあったので、少し嬉しくなる。

 

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